恋心
翌朝ーーー
自転車を走らせながらふと空を見上げたあたしは、カンカンと照りつける太陽にキュッと目を細めた。
久しぶりの快晴。
何だか気持ちも晴れやかになる。
ペダルを漕ぐ足も、何だかとても軽く感じて気分が良かった。
「夏美何かいいことあった?」
そして登校してすぐ、春ちゃんがニコニコしながらあたしに近付いてきてそう言った。
「うん…いいことっていうか、嫌なこともあったっていうか…とりあえず聞いてくれる?」
「聞きますよ聞きますよー」
「あのね、昨日あれから…」
あたしは昨日の出来事を全て春ちゃんに話した。
あれから必死で探した話。
あいつのお母さんとのやり取りの話。
殴りかかるのを止めちゃった話。
西田さんのグチの話。
シンデレラボーイの話。
とにかく全部を話した。
そしたら春ちゃん。
「そうなんだー」
ってやたらとニコニコしてて。
「良かったね、夏美」
そう言って優しく微笑んでくれた。
良かった?
ん?良かったのか…な?
そう思った時、チャイムが鳴り響きクラスメイト達が席に着いていった。