恋心
そして、20分ほど経った頃だった。
どこ行ったんだ?なんて考えていた俺の元に、おぼんを手にした相原が戻ってきた。
「あのっ…うちさ、熱出した時たまご粥なんだよね」
「うん」
「とりあえず作ったからさ…薬…飲まなきゃいけないし、食べて」
相原はそう言うと、少し照れ臭そうに笑って。
俺はゆっくりと体を起こして、畳んでいたテーブルを開いてそこにそれを置いてもらった。
「うまそーじゃん」
「あっ、当たり前でしょ!誰が作ったと思ってんのよ」
俺がうまそうって言ったら、照れ隠しなのか相原はいつもの強気な相原になっていて。
クスッと笑った俺は、冷ましながらそれを口に運んだ。
「なぁ」
「ん?」
「お前、塩とか入れた?」
「塩……あーっ!」
大きな声を出して慌てて一階へ降りて行った相原は、塩の入った小瓶を手に急いで戻ってきた。
「ごめん、味つけするの忘れてた」
「ハハッ、お前若菜と一緒だな」
「えっ?」
「若菜もさ、たまに料理作った時とか味付け忘れてんだよ」
「へへっ、そうなんだ?あるよある、忘れることあるんだよねー」
「いや、普通は忘れないだろ、つーか人に出す前に味見しろよ?でも……」
「何よ?」
「……作ってくれて、ありがとな」
俺がそう言うと、相原は照れ笑いのようなものを浮かべて。
「食べたら早く薬飲んでよね!」
そう言うと、テーブルの上に薬と水を用意してくれた。