恋心
誰かにこんなふうに看病してもらったことは多分なかった。
親父は仕事が休めなかったし、風邪をひいても一人で寝ていた。
若菜には移したくなくて、熱が出たらいつも近寄るなって言ってた。
初めてだったんだ。
しんどい時に、誰かがそばにいてくれて。
ずっとそばで、看病してくれたことが。
「大丈夫?」
相原の声がそばで聞こえて。
また、タオルに手をかけられた。
ダメだ、今タオル取られたら…
俺は、相原の手をグッと引き寄せた。
「えっ、ちょっと!何⁉」
驚いた声をあげる相原は、何かされるとビックリしたのかすっげー抵抗してきたけど。
「何もしねーから」
俺がそう言うと、力いっぱい逃げようとしていた体からすぐに力が抜けていった。