恋心



そして、とりあえず何とか形にはなって。


時計を見ると6時を過ぎた時だった。



「ただいまー!」



玄関の方から聞こえた声に、使った調理器具たちを慌てて洗う。



「あれ?お兄ー?」



すぐにリビングのドアが開き、洗い物をするあたしと妹の若菜ちゃんの目と目が合った。



「ごめんなさい、お邪魔してます」


「あーっ!あの時の!」



若菜ちゃんはそう言うと嬉しそうにキッチンに入ってきた。



「わぁ!これ、作ってくれたんですか!?」



あたしの作ったお味噌と卵焼き、野菜炒めをジーッと見つめていた。



「あっ…うん、ごめんね勝手に冷蔵庫のもの使わせてもらったんだけど…」


「えーっ!全っ然!ありがとうございます!!」



とびっきりの笑顔でお礼を言われ、何だかすごく照れ臭くなった。



「あの、清…あ、お兄さんね、熱あるみたいで。今は寝てるんだけど…無理しないように時々見に行ってあげてくれるかな?」


「えっ、お兄熱出てるんですか⁉分かりました!無理させないように見張っときます」



若菜ちゃんの言葉を聞いて安心したあたしは、それからすぐに清原の家を出た。



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