恋心
「じゃ」
「うん、また…」
結局一緒に校舎に向かって、教室まで歩いてきたけど。
特に会話という会話はないまま俺たちは廊下で別れた。
モヤモヤする心。
話したいことがたくさんあったはずなのに…何ひとつ話せなかったことに朝からテンション下がりっぱなしだった。
「つーかさ、今日ため息つきすぎじゃね?」
一限目が終わったばかりの休み時間。
目の前に座るテツは、そう言いながら俺の頭をパシッと叩いた。
「恋わずらい、ってやつですかねー?」
そしたら後ろから歩夢の声がして。
振り向いたらやっぱり歩夢が教室に入って来ていて。
隣の席が空いていたから、歩夢はそのままそこに腰掛けた。