恋心
屋上に近づくにつれて、早くなっていく心臓の音。
ドキドキが、次第にバクバクになって。
自分で自分の心臓の音をこんなにも感じたのは、多分初めてのような気がした。
階段を上がり、辿りついた屋上。
一歩ずつ、ゆっくりと進んでいくと、寝転がっている清原の姿が見えた。
そっと近付き、そばまで行くと、あたしに気付いた清原が慌てて体を起こした。
「ごめんな。急にこんなとこ呼んで」
「ううん」
「あ、あと…この間はありがと。それから…風邪うつしてごめん」
やけに素直な清原に、調子が狂う。
「ちょっ、やめてよー。あんたがそんなだと雨降るじゃん」
ありがとうもごめんも、素直に嬉しかったけど。
何であたしは素直になれないんだろ。
「降らねーって。こんなに晴れてんだから」
いつもの調子のあたしに、清原はホッとしたような顔をすると、またすぐにゴロンと背中を倒した。
あたし達しかいない屋上。
少し距離を開けて、清原の隣に座った。