恋心
「好き…だよ」
「えっ?何て?」
「だから……好き…だって」
「えっ!?」
絶対聞こえているはずなのに、からかうように清原はそう聞き返してきた。
「…もう!言わない」
「本当に聞こえなかったんだって」
絶対ウソだ。
だってニタニタ笑ってんじゃん。
「もう一回言って」
「……やだ」
「もう一回だけ」
「だからやだ!」
「あと一回だけでいいから」
気付いたら、あたし達は体を起こしていて。
目の前には、あたしを真っ直ぐ見つめる清原がいた。
……もうっ!
「…好き…だよ」
精一杯のキモチ。
それをあたしが口にすると、清原はニッと笑って。
「やっぱあともう一回言って」
そう言って、
あたしをぐっと抱き寄せた。
ドクンドクン…と、響く胸の音。
それと似た早さの音が、清原の胸元からも響いてきて。
「清原が好き…」
初めて心から、
素直になれたような気がした。
そしたら、
ぎゅぎゅーって強く抱きしめられた。
だけどーーー
「俺は好きじゃない」
えっ⁉
そんな言葉に、あたしはもう訳わかんなくなっちゃって。
「ちょっ!!だったら何でこんな」
言いかけたその時。
「俺は大好き」
清原はそう言うと、
あたしを見つめて、優しく甘いキスを落とした。