恋心
だってあの女は……
そこまで可愛くもねーくせに、なんか調子こいて『もう声かけてこないでください』とか言ってたし。
別にお前、そこまで可愛くもねーから!みたいな。
たまたま声かけてやったんだから逆に感謝してもらいたいぐらいだよ。
『おい大雅、聞いてんのか?』
『えっ?』
『えっ?じゃねーよ。歌!早くいれろって』
『あぁ、ゴメン』
テツに肩を揺らされて、ハッと我に返った。
なんなんだよ俺。
なんであの女のことなんか思い出してんだよ。
あー、気分悪くなるだけだから早く忘れよう。
せっかくの楽しい時間が台なしになっちゃうからな。
よし、歌おう。