恋心
うーん…
リモコンのタッチパネルを操作しながら、何を歌おうかと考えてみる。
何かムカムカするし発散できそうな歌…
アップテンポな歌がいいな…
「ねぇ、大雅くん」
と、その時。
パネルを触っていた俺の指先に、温かい手がそっと重なった。
「えっ?何?」
隣に座っていたS女のサラさんを、俺はそう言って見た。
「大雅くん、超タイプなんだけど」
サラさんはそう言うと、重ねてきたその手を俺の手に絡めて。
「繋いでてもいい?」
キラキラしたような瞳で俺を見つめる。
「あぁ、別にいいけど」
断る理由なんてない。
繋ぎたいなら、繋いでてやればいい。
そう思いながら、面倒くさくなってきた俺は、歌を選ぶのをやめて。
もたれかかってきたサラさんと黙って手を繋いでいた。