恋心
そして…
コンコンっ…
ちょうどそれは、歩夢が歌い終わった時だった。
ドアがノックされて。
トレーを持った店員が入ってきた。
「失礼します、お待たせしました、ポテトとストロベリーア……イス、です」
ん?
ぼーっとしていたはずなのに、何故か俺は言葉の詰まった店員に反応していて。
そして、視線がその声の先へとゆっくり動く。
「あ!!」
そして、無意識に出てしまっていた大きな声に、隣にいたサラさんが不思議そうに言う。
「えっ?どうしたの?大雅くん、知り合い?」
「いやっ、知り合いっていうか…」
「いえ、知らないです、こんな人」
彼女はそう言って俺を見ると、視線をゆっくりと下げていき、サラさんと繋いだ手をジッと見ると、何故かニコッと笑った。
「失礼します」
そしてそう言うと、静かに部屋から出て行った。