恋心



「寒いよう」



冷たい風呂場で、若菜が震えてた。



俺は慌ててシャワーのお湯を出した。



いつも、

蛇口をひねれば温かいお湯が出てていた。



なのに…出てくるのはずっと冷たい水で。


待っても待っても…

それが温かいお湯には変わらなかった。






「お母さんっ」



泣いて叫んだ。


どこに行った?


なんでまだ帰ってこないの?



若菜と二人で、ずっと泣いた。




「大雅⁉若菜⁉」



そしたら親父の声がして。


ビショビショで震えながら、帰ってきた親父に二人で飛びついた。


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