恋心
「つーか、親父酔ってんだからつまんねー話すんなって。ほら、もう11時前だぞ?早く寝ろよ、若菜」
「はいはい」
若菜はそう言うと、珍しく冷蔵庫からビールを出して来て。
「これ飲んだら寝なよ?」
そう言って、リビングから出て行った。
一日一本、多くても二本。
いつもあいつがそう言ってるくせに。
「今日はラッキーだな、三本目だ」
親父はそう言うと、プシュっと缶ビールを開けて。
「いつか、お前の奥さんにビールついでもらいたいなぁ」
と、赤い顔で笑う。
「つーか、それを言うなら俺と晩酌したいなぁとか言うだろ、先に」
呆れて俺が笑うと
「あぁ、そうか」
親父はまた笑って。
ついていたテレビ番組を、ボーッと俺たちは眺めた。