恋心
「なぁ、あれ、親父が何歳の時だっけ?10年前だから…」
「ん?」
「今47だから…37歳の時か」
「何の話だよ」
テレビを見ながら、親父はフッと笑う。
「親父も歳とったよな」
笑った横顔を見て、
ふとそんな言葉が出た。
目尻にできたシワに、
頬に浮かんだ薄いシミ。
「何かちょっと痩せたんじゃね?」
丸まった背中と、腕にクッキリ浮かんだ血管を見て、俺は笑う。
「そうか?お前が大きくなっただけだよ」
親父はそう言うと、ビールをゴクッと喉に流し込んで。
「お前もそろそろ寝ろよ」
テレビを見ながらそう言った。