灯火〜あなたがいた日々〜
「あ、はい…」
―自己紹介されてもなぁ
しかも”沙永ちゃん“って…
外見通りの人だ…
差し出された右手を
軽く握り返し
すぐに離す。
―もういいよね
そう思ったとき
「あーいたいた。純〜
何やってんだよ、お前。
さがしたじゃん!」
チャラ男くんのうしろから
誰かが現れた。
突然顔を出したのは
こげ茶色の髪に制服を着崩し
左耳だけピアスをした
色白の男の子だった。
「おーわりぃわりぃ。
ちょいといろいろありまして
って、おーい
人の話を聞けっ」
そうチャラ男くんが言うのも
かまわずに色白の男の子は
私を凝視していた。