オタク女とアナログ男
母が意外と考えている事に驚きつつ、家を出た。
「ふふ、あっちは麻理子ちゃんの職業柄、着物を着てくるでしょうねぇ…
楽しみだわ!
カメラ持ってきて良かった!」
「…何が目的か完全に忘れたな」
麻理子さんの着物は俺も何度か見せてもらった。
あの凄い着物を着熟せる人は中々いないとも思う。
…着物負けしていそうだ。
「あっ、貴方はカメラ弄っちゃ駄目よぉ!
また潰すつもり!?」
「またってなんだ。
わざとじゃない。」
「またじゃない!
何度私のトキメキメモリーを潰されたか…!
もうっ、触っちゃダメ!」
「重いから持ってやっただけだろう…」
失礼な母親だな。
少しムッとしながらタクシーに乗り込み、前に買ってもらった携帯を弄ってみる。
…よくわからない。
電話をかけるのは…どうするんだったか。
電話帳が中にあるはずなんだが…
やはりわからない。
まぁ、手書きの電話帳があるから困る事は一切ないんだ、別に良いだろう。
俺は着くまでの間、携帯を仕舞いメモ帳を取り出してお見合いマナーを見ていた。
昔、金持ちな友人のために調べた物を取っておいて良かった。