オタク女とアナログ男
「お嬢ちゃん、鯉好きなのかい?」
「あ、はい。
ここの方ですか?」
「そうだよ。
丁度今から餌なんだ、あげてみるかい?」
「わっ、本当ですか?」
美琴さんは嬉しそうに手を合わせ、立ち上がるとおじさんから餌をもらってあげ始めた。
「餌はいつもここからやるんだ。
その方が人にも慣れやすくてね。
期待してたみたいだ」
「凄いです、勢いがさっきまでとは全然違うっ」
…俺にはわからない世界だ。
どこが可愛いのかわからない、不気味過ぎる。
「総司郎君も、ほら!
楽しいですよ」
「…はい」
この時断れなかったのは何故だろう。
彼女の笑顔が輝いて見えてしまったせいなのか、気の迷いか…
何にせよ、この人は予想外過ぎた。