オタク女とアナログ男


始めに見たのは後ろ姿だった。
綺麗な人がいるなぁと、素直に思った。
どうせお見合いするならああいう人が良かった、と。
するとどうだ、母がその人達の所へ駆け寄ったではないか。


「なっ、菜々子お姉様!」


振り返った姿は予想以上に、綺麗だった。
見惚れていたらいつの間にか座らされていて、自己紹介して、された。

檜山 美琴さん

大人の色気…というのだろうか。
上品な着物、上品な微笑み。
なのにどこかうっすらと漂うこの色気。
同級生には感じられない、大人の余裕なのか。

気が付くと両方の母親は去っていて、どこか気まずい雰囲気が漂う。
ここは男がリードしなければいけない。


「「あの」」


………かぶった。


 
 

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