オタク女とアナログ男
「へぇ、じゃあ水温も大切なんですね」
「そう、その見極めがまた難しいんだけどね」
二人を見るとまだ話していて、よく飽きないな、と思った。
が、美琴さんが凄く楽しげでほんのり胸が暖かくなるのと同時に構ってほしい、という思いが出てきて正直戸惑った。
…いやいやいや、俺は何を?
そんな子供じみた、ましてや今会ったばかりの女性に対して、そんな…
うだうだ考えていると、キュッと指を握られた。
バッと振り返ると、その手はやはり美琴さんで。
「すみません、お待たせしちゃって」
「あ、いえ…
楽しかったですか?」
「はいっ、とても!
好きなものがあるとつい夢中になっちゃうんです」
悪い癖ですね、と笑う彼女はとても幼く見えて、可愛く見えて。
「…へ?」
「…あ」
つい、頭に手を乗せてしまった。