オタク女とアナログ男


カーっと一瞬にして赤く染まる彼女の頬。
え、と思う間もなく手が振り払われた。


「…もっ、申し訳ありませぬ!
手を握ったのはホント無意識でございまして!
ちょっと、ちょっと、頭に手ポンッは我輩の中で萌えポイントが高過ぎてっ、容量がパンクをっ!!!」

「…落ち着いて下さい」


凄い、パニックでオタク丸出しになった。
口調、一人称、萌えポイント。
パニックのせいなのか何だか母とは違い、不気味さがない。

…それにしても人は不思議なもので、人がパニックを起こしていると自分の中の焦りはスッと納まってしまう。



「…落ち着きましたか?」

「は、はひゅっ…」


パニックのせいで疲れたのか、胸に手を当てて息を整えている。
どこかボロッとしていて、最初の大人の色気が消えた。

…やっぱりあれは作った性格で、こっちが本性(と言えば聞こえはわるいが)なのだろうか。


 
 
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