オタク女とアナログ男


「夢!
いつの間に、待て、返せ!」

「やーよっ!
見て見て一君っ、総君がこんな写真持ってたわよー!」

「写真?
風景かなんかか?」

「違うわよっ、オ・ン・ナ!」

「はぁっ!?」


夢は身軽で、俺が手を伸ばした先に姿は無かった。



「うっわ、なんだこの着物美人…
大人の女じゃん、うなじとか超そそる…
こんな美人、どのジャンルでも俺が知らねぇわけねぇって」

「やっだ、下ネタよー?
あ、しかもカメラ目線じゃないって事は盗撮か何かよね!?」

「うっわ、総司の奴カメラもろくに使えねぇと思ってたのに…」

「揃いも揃って人聞きの悪い事を言うな!!!」


最悪だ、母から高くで売り渡して貰った美琴さんの(とっておきの)写真がこんな奴等に見られた…!


「総君、現実を見るのよ!
こんなストーカーみたいな真似、ママ、許しませんっ!」

「お前はとにかく黙れ!!!」


この、夢…樫村 夢都(カシムラ ムト)は所謂オカマ。
こんな喋り方で小さいが、髪は短いし(色んな所で編み込んでるが)、喉仏もある、何だかんだで女が好きな、れっきとした男だ。
何故かユメと呼ぶ事を強要されている。
同じ三年で会計。


 
 
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