オタク女とアナログ男
「よし、これにしましょう!」
母上殿が着物を決めたのはそれから数十分後。
こんな早くから起こされた理由はこれである。
…悩むとわかっているなら夜にでも決めていたらよかったのに、と思った事は私の胸の内に留めておこう。
「おぉ、控えめセクシーですな!」
「ふふん、清楚且つ大人の色気!
地味で面白味がないと思われるのも私のプライドが許さないからね、半襟にも拘って、広襟につけて、だらしなく見えないギリギリに挑戦!
あぁっ、なんて拘り!
やっぱり私、凄いのね!!!」
「…凄いです母上殿。
用語的マシンガントークもですがその間に完璧に着付けるその抜け目のなさ、感服致します」
「…次は化粧よ!
髪も可愛くしてあげるわ!」
張り切っておりますな、母上殿…
しつこいようだがこの萌えイベント、我輩は当事者でなく傍観者でありたかった…