オトナとコドモの境界線
あれだ、そりゃあ凄い綺麗……なんだろうが突風なんか吹いた日にゃ桜の花の台風で前が見えねぇし。
ヒドい時は口ん中にまで入ってきやがる。
後、掃除のおばちゃん達が毎年この季節になると溜め息溢してんのを見てるもんだから中々素直に感動出来ん。
この桜並木の歩道を綺麗に保つなんて並大抵の努力と根性じゃあ出来ないぞ。
──ザァアァァ…ッ
「……っと」
ほら、今まさにプチ桜の花台風が巻き起こった。突風に巻き荒れる花びら達に思わず目を瞑る。
桜の花びらの中なんてロマンティック…とか思う奴もいるかもしれないが、俺の気分はグラウンドの砂嵐の中と変わらん。
こんな中動くと、ろくな事はない。これがこの大学に来て俺が1番学んだ事でもある。
ここは大人しくこの桜台風が収まるのを──…
ドンッ
「きゃっ」
「お、っと…」
この桜台風ん中歩いてたヤツが居たらしい。恐らく目瞑って歩いてたんだろう、まさか人が居るとは思ってなかったんだろうな。
俺もまさか近くに人が居るとは思ってなかった。