未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「まだ手紙も残ってるし、もうちょっと休んだら続きをしようか。それとも暑いから嫌?」
相変わらずマイペースだなぁー、と思いつつ答える。
「……確かに、暑いのは嫌かも」
「じゃあさ、レンタサイクルなんてどお?」
……レンタサイクル?
チャリ借りて、サイクリ~ング♪ しちゃうってこと?
「でも、それって観光地とかにはあるけど、こんな普通な商店街にはないと思うよ」
真顔で言い返したあたしに彼はニコッとして
「それがさ、あるんだよね」
と窓の外を指した。
え? っと身を乗り出し、長い指が示す方向へ視線を向けると── “長田サイクル” の看板の下、ガラスドアに大きく “レンタサイクルやってます” の文字が見えた。