未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「それじゃあリカ、部活がんばってね?」
「うん。ナカジーにも会ったらさっそく話しておく。
あっ ねぇ、湊?」
バイバイの形のまま顔の横で手を止めて、リカがあたしを呼び止める。
「なに?」
「そういえば昨日の話の続き、聞いてなかったよ? 湊は王子とどうなったのか…」
「なんにもないよ、あたしは」
慌ててリカの言葉に、自分の言葉を重ねた。
「そーお?」
怪しむように見てくるリカの視線を外す。
そして、努めて明るく言った。
「そうだよー。ありえないって。それに、いろんな噂も立ってるしね」
「うーん。いろんな噂ねぇ……」