未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
それは化学の授業中のことだった。
「それじゃー……出席番号12番、男子はえっと辻之内で、女子は ――
時田?」
「……はい」
先生があたし達の名前を呼んだのは、準備室から教材をとってきてほしいからだった。
「今日は12日じゃないのに、どうして12番なのー?」
不服そうに声をあげたのは今井さん。
彼女の問いかけに、先生はこう答えた。
「今月の12日が、わたしの誕生日だからだ」
……そういうこと、ね。
こんな頼まれごと、普通なら絶対お断り!って感じなんだけど。
自分の誕生日を出席番号にあてるという、そんな発想のおかけで。
何日かぶりで辻之内とふたりになれるチャンスが。
それも思ってもいなかった授業中という時間に、訪れた。