未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
静まれ!! 心臓。


勝手に高鳴ってしまう自分の胸に深いため息をつきながら、昨日見てしまった光景が頭に浮かんでいた。




「センパーイ♥」


不意に掛けられた甘ったるい声。


といっても、声をかけられたのは吉井で。

呼び声の主は1年の女のコ。


「おはよー、ユウちゃ~ん」

なんて吉井も立ち止まり。



そして

「あっ ナカジー!」

と離れたところを歩いている“いとしのキミ”を見つけたリカもそっちへ行ってしまって。



必然と二人っきりになってしまった、あたしと辻之内。


少し前だったら、こんな気持ちにならなかったんだろうけど。

いまのあたしは、この状況を喜べない。


なにも言わず階段を上がろうとしたら

「足、平気なの?」

って腕を掴まれた。


辻之内のその行動に、またあたしの体は反応して。


触れられた部分がジーンって熱さを増していく。
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