未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「……平気だよ」


小声で答えるも、顔が見れなくて。


「昨日、何度か電話したんだけど」


その言葉に、顔を上げた。



優しい眼差し ――


それは、変わりないんだね。



……あたしに、電話した……?



「えっ」


慌てて携帯を取りだして確認すると



……本当だ。


辻之内からの着信が、昨日の夜の着歴に残っていた。



「ごめんね。昨日は、ちょっと忙しくて……」



嘘をついた。


忙しい事情なんて、なんにもなかったんだけど。


でも心は、普通じゃなかったよ。

昨日見てしまったツーショットのせいで。


メールチェックしたり、かかってきた電話に出る気分じゃ、とてもなかったんだよ。
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