未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*

あたしは、できるだけ足を引きずらないように階段を上った。



「俺、ずっと気になってたんだ」


隣を歩く辻之内が、前を向いたまま言った。


「なに?」


「時田、俺のことずっと避けてない?」


「……」


「どうしてかなって、ずっと考えてて。
何度か話しかけようとした時も、やっぱり俺のこと避けてるみたいに時田、離れてっちゃうし」



突然切りだされたことにも、ちょっと慌てはしたけど。

でも気になったのは、そんなことを言ってきた辻之内が、何故か寂しそうな顔をしてること。


どうして?


どうしてそんな顔で、そんな切なげな言い方をするの?


ずるいよね。

他に好きな相手がいるくせに。
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