未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「おはよう。捻挫の具合、どう?」
「あっ うん。昨日より全然いいよ。ほんと、ありがとう」
林田くんにお礼を言いながら、あたしが感じていたのは、反対の方向から受ける視線。
「よかった。すぐに処置したのがよかったかな。でも無理はしないほうがいい。過信して動かして、ひどくなるケースもあるし」
2、3歩ほど前へ進んだ場所へ立っている辻之内。
そっとその顔を伺い見ると、まるで睨んでるみたいに林田くんのことを見てる。
「あのさ時田、今度は…」
笑顔の林田くんが言いかけた時。
「悪いけど」
あたしの隣へ並び直した辻之内が口を挟んだ。
キョトンとする林田くん。
対照的に、ムッとした表情を浮かべる辻之内。
「悪いけど、時田は俺と話中だから」
って、いつもより低く呟いた。