未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
移動教室で行われたのは、秋の特別授業。
科目は英語。
隣のクラスと合同だから、広めの視聴覚教室へ来ていて。
その部屋の中を陽気に話しながら、アメリカ人の講師がグルグルと歩きまわっている。
金髪で太っちょの Mr.Harris の話を、英語教師のジミーが訳していて。
さっきから順番にあてられてるのは“フリートーキング”のコーナー。
なんでもいいから、いま思ってることを話せなんて。
無茶すぎる……指された人は皆タジタジで、たどたどしく単語を並べるばかり。
絶対、あんなのあてられたくないな~、って思って顔を横に向けたら、離れた席に座っている林田くんと目があった。
最近、彼からはよくメールがくる。
サッカー部の練習の時間だったり、夜だったり。
好意を持たれている……それはリカから言われなくても、わかることだった。
そういえば昨夜もメールきてたな。
『土曜日のカラオケ楽しみだね』
って内容だった。
明日の土曜は部活も午前だけだから、昼からまたリカやナカジー達とカラオケに行くことになっていた。