未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
授業が終わり音を立ててみんなが教室を出ていくなか、あたしは黒板消しを手に教壇の上に立った。
「じゃあ、うちらは職員室にこれを持っていくから、そっちはお願いしていいかな?」
隣のクラスの日直のコが言いながら、教卓の上から教材などを持ち上げる。
「あっ うん。わかった」
こたえながらあたしは、隣に立っているリカに顔を向けた。
「リカも先に戻ってていいよ」
「いいよ、待ってる」
「でも、次って体育でしょ? 終わったら真っ直ぐ行くから、あたしのジャージも更衣室に持ってってくれるとうれしいんだけど?」
「そだね、そのほうが早いか。んじゃ、これも持って行くね」
と、あたしの教科書やノートを手にとった。
「サンキュ」
リカの背中を見送ってから黒板に向かう。