未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「でも葵って、あたしは辻之内に似合ってると思うけどな」
そう言って見上げると、また笑顔を向けられた。
「あたしなんて”ミナト”でしょ? 小学校の頃ね、クラスにハヤトやマサトって名前の男の子が結構いてね。だから、お前の名前も男みたいって言われて嫌だったな」
別に共感を得ようとしたわけじゃない。でもなんとなく言葉を切ったその後で、隣の辻之内を見あげたの。
そしたら彼はすぐには相槌を打たずに、でも絶妙な間を置いて言ったんだ。
「好きだよ」
「………」
「好きだな、俺」
「え」
「女の子でミナトって名前、俺は好きだな。可愛くて時田にピッタリだと思うよ」