未熟な天使 *恋と心理学と彼とわたし*
「じゃあ、これとこれと……これぐらいでいいかな」
辻之内が本棚から数冊の本を取って机に置いた。
「俺は着替えてくるから、好きなのから読んでて」
「うん」
返事をして前へ向き直ろうとした時、辻之内がまた話しかけてきた。
「それとも一緒に行く?」
「どこへ?」
「俺の部屋」
それ持参で、と机の上の本をちょこんと人差し指でさす。
「へ、部屋!?」
「うん。でも、ベッドくらいしかないけどね」
ベ、ベ、ベ、ベ、ベッド!!
「い、いいよーここでっ」
慌てて顔の前で両手を振った。
「そお? じゃあ待ってて」
こっちはこんなに怪しいほどキョドってるっていうのに、相変わらず涼しい顔で部屋を出て行った辻之内。
でも!
ベッドくらいしかないって一体どんな部屋なわけ? ちょっと想像できないんだけど。いや、想像できないこともないけど………。
「/////」
もうーっ、もっと冷静にしてなきゃバレちゃうよ。見透かされちゃう。
“反応が面白い”なんてまた言われちゃうよー。