俺様狼と子猫少女の秘密の時間③
「なによ。本気にすることないでしょーっ」
廊下の隅で沈み込むあたしの肩をたたく美紅ちゃんに引きずられ、体育館まで行った。
「いーじゃない。明後日からいきなり土日だし。会いに行けば?」
「…いきなり?」
「いきなり」
それはさすがに…。
だって、春休み泊まりに行ったばっかなんだよ?
ちょっと…ねぇ。
あたしは会いたいけど先輩はいろいろ忙しいだろーし。
「遠慮しなくていいのに」
それは杏子の意見でしょ!
「じゃー俺とデートする?」
「しなーい。杏子とする~」
「おっ。いいわねー。美紅はどーせ彼氏だし、二人でどっか行っちゃおうか、いきなり」
「うん行く! いきなり」
最近は翔くんの交わし方も覚え、慣れてきた。
彼もちぇっと言うだけであまり本気では言ってなさそう。
みんなと分かれて椅子に座り、思った。
毎日電話はしてくれるし……いいか。
今までは会わなかった日と一緒に帰らなかった日のみだったけど、今は毎日会ってないから…毎日電話。
先輩あのときからずっとそうだもん。
やっぱり優しいよね。