俺様狼と子猫少女の秘密の時間③
「悠由もなんてーか人が好いっていうか…」
「え?」
顎に手を当て考え込む杏子。
これでもかというほどに首を捻り、そんな彼女の顔を覗き込む。
「だってさー久々のデートがそんなことになっちゃって、怒ったり落ち込んだりするどころかアンタ、喜んじゃってんじゃない」
「だって…」
「てかもー人が好いってかあほね」
あほって!!
さっきばかって言ったぁ!
がーんがーんがーん…とショックを受けるあたしを無視して、杏子は先を行ってしまった。
「……きょーこなんてきらいよ」
聞こえないくらい小さくつぶやいた。
「なんか言った」
……つもりだった。
「言ってない!」
声を高くして返しながら杏子に近寄るあたしは、そのとき。
これから起こる…というか起こされる…というかぶっちゃけ先輩に引っ掻き回されることになろうとは、思いもしてなかった。