俺様狼と子猫少女の秘密の時間③
――薫サイド――
消えた。
「……くっ」
龍樹が……消えたっっ。
「あンの野郎マジでなに考えてやがんだーっ!」
――それは、そう。
ほんの一時間ほど前のことなのだ。
広西と漫才みたいな会話を繰り広げた直後、あいつは荷物を手に帽子かぶってサングラスして出て行ったのだ。
芸能人じゃあるまいし、変装しなきゃなんねーなんてかわいそう…。
…とか言ってるバヤイではない。
「家にもいねぇぞ!?」
「おいおいおい…篠原の行きそうなとこ、心当たりねーのかよ」
んなこと言ったってなあ…。
何年も付き合ってる俺でも、アイツの考えてることはまったく……。
「…ん?」
待てよ…。
アイツの行きそうなとこ……。
「あ」
も、もしや…?