結婚契約～私の旦那さまは碧い瞳の社長様～《完》

借りた服は真紅のドレスだった。源氏名のツバキをイメージしたドレス。
少女趣味なドレスを着せられたら…逃げようと思っていた。


「今日から…皆とともに…働く…ツバキちゃん」


4時間後には…本当にキャバ嬢ツバキとしてデビューしていた。
足が震え、声は上手く出ないけど…精一杯の挨拶をした。


「ツ、ツバキです…皆さん…よろしくお願いします…」


あの人から逃れる為…私は一人で生きていくことをキメた。
こんなトコで…緊張している場合じゃない。もっと…度胸を据えないと…。


私は自分を奮い立たせる。


純子ママのヘルプに座り…ぶっつけで…水割りの作り方を習う。


「！！？」


トングで氷を掴むトコから…失敗。
氷が滑ってテーブルの下に落ちる。


バイトもしたことのない私は失敗ばかり…。やる気だけが空回りしていた。