遠い坂道
家に辿り着いたのは、夜中の二時を回った頃だった。
さいわい一人暮らしをしているために家族を起こしてしまう心配はない。
……シャワーを浴びてベッドに入っても、私は眠れそうになかった。
目を瞑ると、車が少年二人をはねる瞬間がフラッシュバックしてしまう。鼓動が意図せず速まる。
横断歩道には、おびただしい量の赤い血が散っていた。二人を引いた車は白っぽい色をしていたから、きっと血の色が目立つだろう。
一刻も早く犯人が捕まりますように。
そう祈りながら、私はベッドの上で目も瞑らずに横たわっていた。