これが僕らの愛のかたち 【短編】
僕は彼女がレポート用紙ほどの大きさの紙に、
ペンで何かを記しているのを想像した。 


大学時代、
彼女は授業ノートとは別に
小さなノートを持ち歩いていた。

僕が講義に出ている間、
彼女は食堂でそのノートに何かを書いていた。

それはヒットソングの歌詞だったり、
小さな生き物のイラストだったり、
ノートいっぱいの花畑だったりした。

空き時間、
僕らは一緒にそのノートをながめた。

僕らはそのノートに小さな家を書いたり、部屋の間取りを書いたりした。


僕らが
離れて暮らしていくことを選んでから、
もう三年もたつ。


彼女の小さなノートには、
僕の知らないページが
ずいぶん増えたことだろう。

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