これが僕らの愛のかたち 【短編】
彼女は
おかしそうにくすくすと笑った。


いつからだったか、
助手席のドアを開けて
この言葉をいうことは、
僕たちの合言葉になっていた。


専ら運転するのは
僕のほうだったから、
彼女は自分が
「どうぞ」
というのがおかしかったのだろう。


「では、遠慮なく」


僕も笑いながら、
いつも彼女がいうように答えて
助手席に乗り込む。



彼女の愛車ひでふさ君は、
ゆっくりと駅前のロータリーを回って
公道へ進んでいった。


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