【短編】ラーメンよりも君が・・・
「よしっ、何かうまいものでも出前とろうか!瀬戸君何が食べたい?」
「あ、僕はラーメンで!!」
・・・そうだった。
瀬戸君の唯一の趣味は『ラーメンの食べ歩き』
黒山主任は近くの店に
「ラーメンとチャーハンセットを2つ」と電話しながら、ため息をついた。
・・・クリスマスイヴは どこの店も大忙しなのだろう。
しばらく待った後、
若いアルバイト風の女子大生が、出前を届けに来た。
「あれ?君、見たことないけれど、バイトさん?」
黒山主任が、優しく声をかけた。
「あ、はいっ 年末だけバイトに入っている谷口典子といいます」
女子大生の典子は、
慣れない手つきでラーメンを取り出しながら、ぺこりと頭を下げた。
「失礼しま・・・す。お、重いです・・・」
独り言を言いながら、
典子は黒山主任の机にチャーハンを置いた。