【短編】ラーメンよりも君が・・・
続いて、瀬戸君の机にもチャーハンを置こうとしたけれど、
瀬戸君は 仕事に夢中で、
机の上は資料でいっぱい。
典子は必死で手を伸ばした。
パソコンの横が空いている、
あそこにチャーハンを置こう、と。
あと・・・ちょっと・・・。
届きそうで、届かない。
せっぱ詰まった典子は、
えいっ!と狙いを定めて
チャーハンのお皿を少し放ってみた。
お皿は、うわんうわん言いながらも、
なんとか瀬戸君の机に乗った。
黒山主任が目を丸くしていると、
典子は続いて、
ラーメンを瀬戸君の机に置こうとしている。
(まさか投げないだろうな)
と黒山主任が不安そうに見ていると、
典子は小さな声で「ゴムゴムの・・・」と言った。
手が伸びる呪文のつもりらしい。
残念だけど、手は伸びなかった。