投げた恋ボール
その瞬間・・・。


私の心の声が拓馬に届いたかのように、

拓馬が振り返った。



そして、口を開いた。

「風邪ひかねーように、早く部屋に戻れよ。」




今まで我慢していた涙が溢れた瞬間だった。

『私の気持ちに応えられないなら、最後に優しくなんかしないでよッ、、、』




秋の風が背中に吹く。



だから嫌だったんだ。

恋の終わりはこんなにも儚いんだもん。



もう隣では笑えない。
もうあのふざけ合いもできない。
もう話せない。


もうもとには戻れない。



秋の風に私の思いは吹き飛ばされた。



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