投げた恋ボール
・・・・・・・。

((パッ))


私は拓馬の腕を掴んだ手を離した。

修学旅行のあの日のように。


もうもとには戻れない。

でもそれが拓馬の幸せなら、私は決意するよ。


「ごめん拓馬。今日はありがと。優太のこと知れてよかった。」

「お、おう・・・。」

「甲子園頑張ってね。じゃあ。」



私は拓馬よりも早くその場を離れた。

せめて今日だけは、

拓馬の背中を見たくなかった。


拓馬を見送ったら、私の決意が揺らいでしまうかもしれないから。



これでいいんだ。

これが私の拓馬への【愛】だから。






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