投げた恋ボール
~拓馬SIDE~

梨花に気持ちを伝えた。

それだけでよかったのに・・・。

梨花も俺に気持ちを伝えようとしてくれている。




「私も拓馬のことが大好きだった。今日までずっと。」

あんなやり方で突き放した俺をまだ、好きでいてくれたのか??


「馬鹿みたいに明るくて、一緒にいると楽しくて。でも野球やってるときは真剣で。」

梨花が涙目な瞳で俺を見つめてる。
でも、どこか強さを感じる瞳。


「だから、無視されたり、フラれたとき、すごくショックだったんだから。」

だよな。
俺は最低な男だ。


「でも・・・。いいよ。」

え・・・??


「最後に気持ちが通じ合ったから。すごくうれしい。」

涙で梨花の顔が見えなくなっていく。


「前に拓馬言ったよね??『笑顔で別れないと、その人の頭には泣き顔が記憶される』って。」

すげー泣きながら笑う梨花。


「それに私は拓馬の笑顔が好きだから。」

あの夏の日のメッセージを思い出した。




「笑顔で別れよ??」








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