シュガー・レス・ノスタルジア
ダグのはなし




「よぉ、アルト。今いいか?」



アルトがカウンターに出ると、入ってきたのは常連客の1人のダグだと分かった。


アルトも笑顔で言葉を返す。



「ダグじゃないか。久し振り。今リリィにお茶を頼むから、座って待っててよ」




アルトがカウンター席の1つを手で示すと、ダグは「すまねぇな」と手をあげて丸椅子に腰をおろした。


それを見届けたアルトが、カウンターの奥へと声をかける。




「リリィー!ダグと僕の分のお茶を頼むー!」



「はぁーい!すぐに持って行きます!」



助手のリリィの鈴のようによくとおる声が聞こえてきた。




アルトは、ふぅ、と息をついて、手のひらにアゴをのせてなにやら薄ら笑みを浮かべているダグへと向き直った。
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