恐るべし隣の山田メガネ君
どんどん美鈴を部屋の壁際に追い詰めると、そっと腰を抱き寄せた。
顔を赤くして唇をBLマンがでガードする美鈴。
『オイ、唇をガードしているその"メガネ男子萌えアンソロジー"とやらを退けろ。』
「やっ…イヤよ!」
そんなモンで唇を隠すとは、どこまでも腐女子な女だ。
だけど、必死にマンガを握り締め、唇をガードする手が震えているのを見ると、たまらなく愛おしさがこみ上げてくる。
マンガの表紙のメガネ男子が、オレに似ていたのが気になったが、まぁそれもオレを愛するが故だという事にしておこう。
こんな邪魔なマンガはとっとと奪い取っちまうのが一番だ、
BLマンガを奪い取ると、とりあえず遠くへ放り投げる。
ポーーン!
「ギャッ!止めてっ、表紙が折れ曲がったらどーしてくれんのよっ!?」
美鈴が何やらブーブー文句を垂れているが、オレよりマンガを心配するなんてますます気にくわねぇ。
とりあえず文句を聞くのはキスしてからだ。
オレはメガネを外し、じっと美鈴を見つめると、キスする前に手を合わせる。
『んじゃいただきます。』
そしてギュッと美鈴を抱き締めて、チュッと触れるだけのキスを落とす。
唇が少し触れただけなのに、全身を震わせるコイツが愛おしい。
腐女子だって何だって、好きになったらそんなもん関係ないだろ。
だけど、一緒にBLマンガを読むのだけはゴメンだけどな?
『美鈴、好きだ。』
「ギャッ!
そっ!そんな山田メガネに…
萌えっっ!!!」
甘い囁きに萌えるのは、やっぱり腐っても女子の証。
どこまでも、
本当にどこまでも珍バカップルな道を突き進む2人なのでした。
【おわり】