恐るべし隣の山田メガネ君
『野々山…お前マンガの趣味すげぇな、とても女子コーセーとは思えないぜ。』
山田メガネ君はまるで感心したかのように笑いを堪えて私を見た。
え…?ハチクロなのに何で笑うのかしら。
何だか嫌な予感がした…
『今度その呼び方したらバラすっつったよな?覚悟しろよ。』
ハチクロなのに…何故に覚悟が必要!?
そして私を気の毒そうに見下ろすと、手にした少女マンガを高らかに掲げた。
『おいみんな見ろよ!野々山の愛読書は"課長島耕作"だぜ?人は見かけに寄らねぇなぁ。』
んなっ…!?
何ですって!?課長島耕作!?シマコー!?ハチクロじゃなくてシマコー!?
青ざめる私に奪ったマンガを手渡すと、山田メガネは勝ち誇ったように笑った。
ウソだ…まさかそんな訳はあるまい。
パラパラ…。
恐る恐る中味を確認すると、
そこにはしっかりと課長島耕作が居た…。
何でだよ…シマコー、今はお呼びじゃねぇんだよ。
チッ…、きっと兄貴のせいだ。
兄貴のヤロー、あれ程私の本棚に自分のマンガは置くなと言っておいたのに!
カバーが同じだったせいで間違って手にしてしまったのだ。