悪魔なキミと愛契約


「……おい。
貴様、一体なにをしている」


部屋から勝手に出ていこうとするルカの襟首を掴み、グイっと引っ張った。


「だーかーらー。
今からピクニックだって言ってるだろ」


私が言うと、ルカの眉毛がピクリと動いた。


「勝手にやっていろ」


「――って!!!!
ちょちょちょちょっ!!!!」


襟首を掴む私の手を払いのけたルカ。


私は急いで、またルカの襟首を掴んだ。


「貴様、この場で殺されたいのか」


ゴォォォッ!!

っと、とても低い音を立てて燃えているのは、ルカの背後の黒い物体。


黒い炎?

いや……影?


まぁ、どっちでもいいや。



「おまえ、ちょっと来い」


私は、ルカの襟首を掴んだまま、厨房目指して歩いた。


ルカは後ろ向きのままだ。


しかし、ルカが大人しく私に引っ張られているわけもなく。


突然クルリと振り返ると、今度は歩く速度をはやめて私を抜いた。


「いだだだっ!!
おいっ!! こらっ。
手が痛いだろ!!
速度を落とせ!!!!」


コイツの早歩き、人が軽く走ってるくらいの速度なんですけど!!!

どんだけ速いんだ!?


「手、痛いっ!!!
止まれって!!!!」


ルカの襟首を掴んだままの私の腕に、激痛が走った。


「貴様は、アホか。
手を離せばよいだろ」


んなことできるかぁぁっ!!!


どうせその隙に逃げようって魂胆なんだろ?


この手、骨折したって離さないからな。




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