悪魔なキミと愛契約
湿った花びらが、私の手に吸いつく。
花びらを優しく撫でると、さらにバラの香りが増した気がした。
「……キレイだな」
思わずため息の漏れる美しさ。
花を見てこんなに美しいと思ったのは、生まれて初めてだ。
これからは、このバラの手入れは私がしようかな。
シキにお願いして、手入れの仕方を教えてもらおう。
その時――…
「……いたっ」
突風が吹き、バラの棘が私の指を切った。
ツーっと流れる、真っ赤な血。
「やぁ、お嬢さん。
とてもキレイな血ではないか」